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国内の候補は計11件

推薦原案は富士山が初

国内の世界文化遺産

 国内でこれまでに登録された世界文化遺産は12件。建築物や、その集合体が目立ち、「富士山」のように単独の山が世界文化遺産に登録されれば、国内では初めてのケースだ。一方、国の暫定リストに登載され、登録を目指している遺産(国立西洋美術館を除く)は11件。このうち、推薦書原案が提出されるのは富士山が初となる見通しだ。

 国内で初めて世界文化遺産に登録されたのは「法隆寺地域の仏教建造物」(奈良県)と「姫路城」(兵庫県)で、いずれも1993年。今年6月に登録が決定した「平泉-仏国土を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」(岩手県)が2008年、「世界遺産としての価値の証明が不十分」として登録延期された例があるが、日本が推薦した世界文化遺産候補はこれまで百パーセント登録を果たしている。

 これまで登録された12件の文化遺産の分布を見ると、関西方面が9件なのに対し、関東方面は3件で“西高東低”の状況。「古都京都の文化財」(京都府・滋賀県)や「白川郷・五箇山の合掌造り集落」(岐阜県・富山県)、「厳島神社」(広島県)など建造物が大半を占める。

 山に関連する世界文化遺産は「紀伊山地の霊場と参詣道」(三重県・奈良県・和歌山県)と、「石見銀山遺跡とその文化的景観」(島根県)があるが、「富士山」のように単独の山を文化遺産として推薦したケースはない。

 一方、ユネスコの暫定リストに登載され、国が今後、世界文化遺産として推薦する可能性がある遺産候補は富士山を含め11件。国がユネスコに推薦し、「登録待ち」になっている遺産はなく、国は今後、リストの中から新たに推薦する遺産候補を選ぶ見通しだ。

 このうち、最も早く暫定リストに載ったのは「古都鎌倉の寺院・神社ほか」(神奈川県)と「彦根城」(滋賀県)。いずれも92年に登載されている。

 富士山を含む9件は自治体などの要請を受けて登載を決めた遺産で、ユネスコへの推薦書提出には原案の作成、提出が必要。ただ、富士山以外は推薦書原案提出のめどが立っていないとみられ、富士山が推薦書原案提出の最初の例になるとみられる。

世界文化遺産の国内候補
(※は暫定リストに登録された年)
1992年 「古都鎌倉の寺院・神社ほか」(神奈川県)
「彦根城」(滋賀県)
2007年 「富士山」(山梨、静岡両県)
「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県)
「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」(奈良県)
「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎県)
2009年 「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」(北海道と青森など3県)
「九州・山口の近代化産業遺産群」(福岡、山口など6県)
「宗像・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県)
2010年 「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」(新潟県)
「百舌鳥・古市古墳群」(大阪府)
(2011年7月23日付 山梨日日新聞掲載)
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