吉田口登山道検討委が復興計画策定
自然保護と観光を両立へ
富士山吉田口登山道の復元、周辺整備を考える検討委員会が24日、富士吉田市産業会館で開かれ、環境保全と観光資源活用などを目的とした基本構想を策定した。現在1合目・馬返しまで通行が可能な登山道にマイカー規制を導入し、電気自動車など低公害車両を運行させて歩いて登る登山道を定着させる。同登山道は富士講信者の信仰の道として知られ、江戸時代から多くの登山者でにぎわった。富士山有料道路の開通に伴って荒廃が進み、関係者は復興計画に期待を寄せている。
検討委員会には県、市の担当者、市観光協会役員ら25人が出席した。市が中心となりボランティア、自然保護団体などと計画推進の体制づくりを進めることを確認。将来的にマイカー規制の導入を目指すとともに、茶屋の復活を含めた拠点整備、天然記念物の群落地保護活動、学校教育への活用を図る。自然と歴史を結び付けた、滞在型観光の発展を目指す。
登山道の利用は(1)富士登山(2)自然観察(3)歴史探索(4)レクリエーション的散策―と4つのスタイルを想定して施設、道路整備を進めることにした。施設整備は現在復元計画が進行中の「中の茶屋」に加え、北口本宮冨士浅間神社近くに建設する観光会館(仮称)、馬返し、スカイパレス富士(5合目)などを拠点として情報ネットワークを形成する。
吉田口登山道は国立公園内で特別名勝にも指定されていることから、国、県など関係機関と協議を進め、歴史と地域の文化性を考慮した景観、雰囲気づくりを心掛けるほか、環境に配慮した道路整備、汚水処理対策に万全を期す。宿泊施設として「御師の家」の復元、保存も計画していく。
市商工観光課は「1964年に富士山有料道路が開通して以来、吉田口登山道は荒廃の一途をたどっていた。歩いて登る登山道と位置付け、周辺環境の保全と観光資源発展の両立を目指し、往年のにぎわいを取り戻したい」と話している。 【当時の紙面から】
(1994年3月25日付 山梨日日新聞掲載)