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2022.12.06 所属カテゴリ: 富士山味グルメ / 地域グルメ /

ひなづる漬け

ひなづる漬け

 山梨県上野原市秋山地区で育てた長カブを、塩やしょうゆだれに漬け込んで作る「ひなづる漬け」。漬け込みと脱水作業を繰り返すことで味がカブ全体に染み込み、「田舎の漬物」として地域で親しまれている。

 カブと葉を切り離さずに丸ごと漬けるのが特徴。市によると、約50年前の旧秋山村時代、新たな特産品で観光PRにつなげようと長カブ生産者らが作り始めた。名前は、地区に伝わる「雛鶴姫」伝説にちなむ。雛鶴姫は、1334年に足利尊氏と対立し、悲運の最期を遂げた護良親王の寵姫とされ、京に向かう途中、親王の首級を秋山地区で祭ったと伝えられている。2005年に旧上野原町と合併した後は、地区の住民が協議会を立ち上げ、加工施設を運営。

 毎年冬に住民有志が加工施設で仕込んで商品化する。カブは希少な「東京長カブ」を採用。加工は7~10日間の塩漬けを3回重ね、仕上げに薄めのしょうゆに漬ける。手間は掛かるが3回の塩漬けの合間にあくを水で洗浄し、脱水することで味が染み込む。

 シャキシャキと歯ごたえがあり、口の中に入れるとしょうゆの味が広がり、続いて塩気が効いてくる。そのまま食べても味わい深いが、細かく切って油炒めチャーハンにするのが地元流。

 長カブは毎年、8月後半の種まきから収穫まで約2ヵ月。11月上旬から漬け込み作業をし、12月下旬から上野原市や都留市などの商店やスーパーに出荷している。一方、原料の長カブは生産者の高齢化により、年々減少。ひなづる漬けの生産量も限られている。

 「東京長カブ」の生産農家の減少や加工施設の老朽化、長年にわたり仕込み作業を担ってきた作業員が体調を崩したことなども影響し、2022年冬の製造は休止に。市はひなづる漬けの製造と販売事業を引き継ぐ事業者を2023年3月まで募集している。また、製造技術を後世に継承するため、市は作業員から聞き取り、明文化されていなかったひなづる漬けの作り方もまとめた。

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