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【富士山噴火ハザードマップ・改訂版】<序>被害予測を改定

 山梨、静岡、神奈川3県などでつくる「富士山火山防災対策協議会」が2021年3月26日、富士山噴火の被害を想定したハザードマップ(危険予測地図)の改定版を公表。

 現行のマップは国が2004年に策定し、協議会が2018年から改定に着手。2020年3月には小規模噴火時の溶岩流と火砕流のシミュレーションを中間報告として公表していて、今回の改定版は新たに中規模と大規模噴火時の溶岩流、融雪型火山泥流などの結果を追加した。

 溶岩流のシミュレーションにおいて、最新の研究で「貞観噴火」(864~866年)の噴出量が、旧マップの最大想定量(7億立方メートル)を大幅に上回る13億立方メートルに見直されたことを反映。発生が想定される地点は旧マップの約5倍に当たる252カ所を設定し、全ての噴火パターンでの到達範囲を地図に落とした。

 結果によると、山梨県内は溶岩流の到達範囲が旧マップでは都留市までだったが、桂川を通って大月、上野原両市を通過し、神奈川県相模原市に到達する恐れがあることが判明。前回は都留市や西桂町に8日から約40日で到達するとしていたが、今回は都留市に7時間半、西桂町に5時間で達するとした。国は新たに溶岩流が到達する恐れがある3県の12市町を、活動火山対策特別措置法に基づく「火山災害警戒地域」に追加指定する。

 解けた雪が土砂を巻き込んで流れる融雪型火山泥流は危険度区分や到達時間、泥流の深さの3種類の地図で示し、富士北麓地域と東部地域の7市町村で被害の恐れがあることが示された。

 降灰範囲は旧マップのデータを再掲。富士北麓地域だけでなく、甲府市で2センチの降灰を見込んだ。

 協議会は想定の対象とする噴火年代について、改定版で従来の3200年前から5600年前まで広げた。5600年前から少なくとも富士山では175回の噴火が発生しており、小規模は86回(49%)、中規模は82回(47%)、大規模は7回(4%)とした。大規模は最後の噴火とされる「宝永噴火」(1707年)などが含まれている。

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