「山静神サミット」創設
富士山防災、観光で連携 年1回、秋に持ち回り
山梨、静岡、神奈川の3県の知事は25日、富士吉田市のホテルハイランドリゾートで会談し、観光振興や防災対策など広域的な課題で、三知事が定期的に意見交換する「山静神サミット」の実施で合意した。年1回秋に開く方針で、富士山噴火への対応を含む防災対策や中部横断自動車道などの交通網整備、静岡空港の開港などで増加するとみられる観光客の受け入れ、森林・河川の環境保全などを協議。テーマに応じ、共同で国への要望も視野に入れている。政府や各自治体で議論が活発化している道州制については「どう対応するかの議論も会議の中でできる」(松沢成文神奈川県知事)とし、今後の議題として浮上する可能性もある。
会談には、山梨県の山本栄彦、静岡県の石川嘉延、神奈川・松沢の各知事が出席。「山静神サミット」は松沢知事が提案した。
今秋、神奈川県で1回目を3県共同で開き、2007年度以降は持ち回りで事務局を務めることを決めた。
具体的な議題としては(1)富士山噴火などの防災対策(2)静岡空港の開港や羽田空港の国際化を踏まえた観光振興策(3)県境をまたぐ中部横断自動車道、リニア中央新幹線、第二東名高速道路などの交通網の整備(4)河川や森林などの環境保全-などのテーマを想定している。
会談後の記者会見で、山本知事は「富士山を中心とした観光振興で連携するほか、山岳地帯を抱える県として、森林保全についても三県で共同して国への働きかけをしたい」と抱負を述べた。
道州制をめぐっては、石川知事が「(政府の地方制度調査会で)静岡は中部圏とされ、山梨、神奈川両県と分かれる」とした上で「3県による協議を道州制と関連付けるレベルにはない」と述べた。また山本知事は「各県の連携事業を整理しながら、枠組みを検討するべきだ」と話した。
山梨県はこれまでに、長野、岐阜の三県で「中央内陸県連合」を設立。2001年10月に初めて知事会談を開いたが、その後は各県知事の日程の折り合いがつかないなどの理由で休眠状態となっている。同連合の発足をきっかけに設立した広域観光推進協議会は共同でPR活動を展開するなどの活動を続けている。 【当時の紙面から】
(2006年1月26日付 山梨日日新聞掲載)