「富士山をきれいにする会」環境庁が表彰 美化運動の功績で
自然に親しみ、自然の尊さを学ぼう-と7、8の両日、静岡県富士宮市の朝霧高原で第16回自然公園大会(主催・環境庁、静岡県、国立公園協会)が開かれる。自然愛護精神の普及のため、環境庁が主唱している「自然に親しむ運動」の中心行事で席上、富士山美化運動を続けている「富士山をきれいにする会」など1団体、5個人が環境庁長官から表彰される。
ことしの中心テーマは「自然環境の美化清掃の推進」。国立公園の自然破壊は乱開発とともに、大挙して押しかけてくる観光客が捨てる空きかん、紙くずなどのゴミ対策が大きな悩みになっており、ことしの大会では、ゴミを捨てないマナーを培うことに重点が置かれる。
大会には常陸宮ご夫妻も出席され、全国からボーイスカウト日本連盟、学生ワンダーフォーゲル会議、日本山岳協会などの会員約3千人が参加する予定。初日の7日は、式典と夜のキャンプファイアーが中心で、自然保護、美化推進に功績のあった富士山をきれいにする会(野口二郎会長)ら個人5人、団体1が、環境庁長官から表彰される。
富士山をきれいにする会は昭和37年、山梨県、新生活運動協議会、山梨放送、山梨日日新聞社などの主唱で設立、日本の観光地美化運動のパイオニアとして富士山をきれいにする運動を展開。昨年まで12年間に延べ18万2千人が清掃に参加し、1090トンのゴミを処理、富士山や富士五湖畔にサクラ、ツツジなど約2万本を植えている。また昨年から清涼飲料業者の協力で、空きかんの回収・処理・再生実験を試みている。
県内の八ケ岳、南アルプス、荒川、桂川、昇仙峡などや、県外の尾瀬、大山、立山などの美化運動も富士山の刺激によって生まれたもの。表彰は、観光地美化の先駆的活動と、県内外への波及効果が評価されたものと見られる。 【当時の紙面から】
(1974年8月2日付 山梨日日新聞掲載)