「中宿」の歩み冊子に
山梨県富士吉田市の中宿連合自治会が発行している、地域の歴史や文化財などを紹介する「中宿だより」。街が移転して450年となるのを前に企画。毎月1回、地域の成り立ちや富士講の歴史などを取り上げていく。
同会は、金鳥居から上宿交差点までの国道139号(富士みち)周辺の約700軒。富士講の信者に宿泊場所を提供し、登山に必要な食事などの準備をした御師の家などが残る。
自治会によると、街はかつて現在よりも2キロほど東の「古吉田」と呼ばれる地にあった。富士山噴火による溶岩流や火山灰、雪代といった災害のほか、戦乱の影響もあり、1572(元亀3)年に現在の位置に移転したという。
中宿だよりの発行は、移転から来年で450年になることを記念し、2021年1月に始めた。第1号では街が移転した経緯などを解説。災禍に強い街にするため、住宅や寺社を配置する場所を工夫。富士山信仰を支える街の再構築だった、としている。
第2号は、住民たちが上吉田と新屋地区の間に築いたとされる「城山」を取り上げた。南北600メートル、東西130メートル、高さ34メートルの大きさで、戦国時代、周辺で戦が起きたことなどを伝えている。
いずれもカラーイラストを交えながら紹介。保存しやすいようファイルに入れて会員に配布しているほか、市役所やふじさんミュージアムなどにも置いている。
今後は御師文化や富士講にまつわる神社などを取り上げる予定。
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