2025.4.24

富士山、導流堤8基増設 スバルライン 雪崩対策を強化

 昨年4月に大量の土砂が流入した富士山有料道路(富士スバルライン)4合目の大沢駐車場付近で、山梨県は雪崩対策を強化するため、新たに導流堤8基を整備する。通常の雪崩よりエネルギーが大きい土砂と積雪が流れ出す「スラッシュ雪崩」(雪代)に対応できるよう、従来より大型の導流堤も設置する。2027年度までの整備完了を目指す。
 大沢駐車場付近では昨年4月、スラッシュ雪崩が発生し、駐車場南側のヘアピンカーブで幅80メートルにわたって土砂1100立方メートルが流入した。道路の山頂側には14年3月の大規模雪崩で大沢駐車場が損壊したことを受けて設置された導流堤6基があったが、土砂を含んで重さが増したスラッシュ雪崩の流れを変え切れなかった。導流堤も道路に近い3基が損壊した。
 県道路整備課によると、昨年のスラッシュ雪崩の幅や高さなどを検証。同規模の雪崩が起きた場合に道路への流入が起こらないよう、対策を強化する。既存の3基の直下に設ける5基と、約100メートル山頂側に設ける3基の計8基の導流堤を新設する。3年間で整備する計画で、総事業費は約15億円を見込む。既存の導流堤の長さは最大28メートルだが、新設の8基のうち道路に近い4基は40メートル。設置数を増やし、大型化して雪崩の流れを変える機能を高める。
 25年度は富士スバルラインから設置場所までの工事用道路を整備。直下に設ける1基と、最も山頂側に設ける1基の計2基を設置する。国の補助金約2億円を含む約3億5千万円で整備する。
 県は富士スバルライン4~5合目で雪崩対策を強化し、24年度は石楠花橋の復旧工事が完了した。雪崩による破損を受けた復旧で、橋の下にある沢を土砂が流れた場合のスペースを広げるため、橋の長さを20・7メートルから2倍以上の45メートルに延ばした。苔桃橋付近では24年度から全長103メートルの洞門の整備を進めている。
 今春は雪崩による道路への土砂の大規模流入はなく、23日に5合目までの全線開通を予定している。

(2025年4月23日付 山梨日日新聞掲載)

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