2025.3.06
富士山5合目下、再興へ 登山道や巡礼路調査
山梨県は富士山の信仰文化の再興、発信強化のため、5合目より下の船津口や精進口、山中口、吉田口の「古の登山道」や巡礼路の調査を進めている。文献による各登山道や拠点の調査、御師や富士講ら関係者への聞き取りを進め、2月には現地調査を始めた。来年度中に調査報告書をまとめ、今後の活用策や施策の検討材料にする。
県は埋もれている観光資源に光を当てるとともに、吉田口5合目から山頂に集中する登山者の分散を図り、オーバーツーリズム(観光公害)対策につなげたい考え。
県富士山保全・観光エコシステム推進グループによると、これまでに有識者や市町村の学芸員ら13人で構成する検討会を2回開催。登山道や巡礼路、道に付随する施設や文化を調査対象とし、文献による調査と御師や山小屋などの経営者や利用者、富士講関係者らへの聞き取りを進めている。2月から実施している現地調査では、映像での記録も予定している。
検討会は来年度中に調査報告書をまとめ、求められる取り組みや施策を県に提案する予定。県は報告書を参考に地元関係者と連携し、古の登山道などの再興を図るという。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)は世界遺産登録時、富士山麓に点在する構成資産のつながりや関係性が分かりにくいと指摘した。改善策として巡礼路を特定し、全体としてどのような価値を持つのかを情報提供することを求めている。
(2025年3月3日付 山梨日日新聞掲載)
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