青木ヶ原樹海へ誘客促進 県が魅力発信、イメージ払拭図る
山梨県は、富士山麓に広がる青木ケ原樹海の「負のイメージ」を払拭するため、魅力発信に力を入れている。2021年に設けた特設サイトで豊かな自然環境や樹海散策の楽しみ方を紹介する他、県の支援を受けて民間が設けたインバウンド(訪日客)向けのサービス拠点でガイドツアーなどの情報を提供。樹海を縦断して富士山へ向かう精進口登山道の再興も図っていて、観光地として定着を目指す。
県は特設サイト「この森は『命』と『光』に満ちている。~AOKIGAHARA JUKAI~」を開設。富士山噴火によって形成された原生林が育む多様な動植物、遊歩道での安全な楽しみ方を動画などで案内している。閲覧数は増加傾向で、22年は3万8千回だったが、23年は4万3千回、24年も11月末時点で4万1千回に上った。
また、民間が富士河口湖町の富士急行線河口湖駅近くに設けた拠点に対して、県が設置費用を補助。拠点では樹海のガイドツアーなど訪日客向けに樹海観光の魅力を発信している。
県はかつて樹海を縦断して富士山へ向かう道として使われていた精進口登山道の再興も図る。精進口登山道は県道だが、登山で利用する人は少ないのが現状。県は文献を通じて文化・歴史的価値を調べていて、今後情報発信するという。自然環境を損なわない形での遊歩道整備についても、地元関係者と議論を進める方針。
県によると、松本清張の小説「波の塔」などを通じて、青木ケ原樹海には自殺のハイリスク地としてイメージが抱かれているという。本年度はドローンを使ったパトロールを実施するなど水際対策にも力を入れてきた。
県は樹海について「観光地として大きな可能性を秘めている」と説明。樹海を訪れる観光客が増えることでイメージアップを図るとともに、自殺の未然防止の効果も期待している。
(2025年1月14日付 山梨日日新聞掲載)