2024.12.01

富士噴火 船上で把握

 積雪期の富士山噴火による融雪型火山泥流の発生を想定し、山梨県警などが28日、富士河口湖町の河口湖周辺で行った対応訓練。被害が少ないと考えられる湖上の遊覧船に開設された「合同調整所」では関係機関の担当者が情報共有した。高所作業車の上から撮影した映像を遊覧船のモニターに映して被害状況を把握するなど初めての試みも行われた。

被害状況の把握や逃げ遅れの確認などをするため、高さ22メートルの高所作業車から撮影する県警の警察官ら。映像は対策拠点などでリアルタイムで確認した=富士河口湖町船津

■積雪の富士 噴火備え訓練 河口湖周辺情 報共有アプリ初運用

 県警などは28日、積雪期の富士山噴火による融雪型火山泥流の発生を想定し、河口湖周辺で観光客や住民らを避難させる訓練をした。スマートフォンの利用者と行政が双方向で情報を伝達できる「情報共有アプリ」を国内の訓練で初めて試験運用したほか、県警として初めて高所作業車からの情報収集訓練も行った。
 県警や富士五湖消防本部、県富士山科学研究所などから約200人が参加。噴火警戒レベル3(入山規制)が発表された直後に富士山5合目付近で噴火が発生して火砕流が流出し、山腹に積もった雪が火砕流の熱で溶けて斜面の土石を取り込みながら市内に流れ込む可能性がある想定で実施した。融雪型火山泥流の発生を想定した訓練は初めて。
 これまでの訓練では、県警ヘリ「はやて」から撮影した映像で被害状況の把握などをしていたが、火山灰の影響で飛行できない可能性を考慮し、高所作業車から撮影した映像を対策拠点に配信した。
 県富士山科学研究所などが開発中の「情報共有アプリ」を使用した訓練も全国で初めて行った。行政側から防災情報を発信するほか、無料通信アプリ「ライン」を通じて利用者から位置情報とともに写真や支援要請などを収集し、避難誘導や救助活動に生かすという。
 河口湖岸では、警察官らが単純な図形を組み合わせ情報を伝える絵文字「ピクトグラム」を活用して外国人の観光客役に集まるよう呼びかけ、富士五湖汽船が所有する遊覧船に乗せて南岸から北岸に輸送した。

(2024年11月29日付 山梨日日新聞掲載)

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