スバルライン、土砂流入
富士山、全線開通見通せず
山梨県は10日、富士山有料道路(富士スバルライン)の標高2045メートル付近で9日午後、幅80メートルにわたって土砂1100立方メートルの流入を確認したと発表した。土砂が道路をふさいだため、県は10日、前日に通行止めにした1合目下駐車場から4合目までを改めて通行止めにした。県はゴールデンウイーク(GW)前に5合目までの全線開通を目指す方針だが、担当者は「比較的大きな規模で、開通時期は未定」としている。本格的な観光シーズンを前にした通行止めに5合目の売店関係者が気をもんでいる。
県道路整備課によると、道路のパトロールをしていた職員が9日午後1時半ごろ、富士山4合目の大沢駐車場南側のヘアピンカーブに土砂が流れ込んでいるのを確認した。同日午前9時に雪崩注意報が出て通行止めとしていたため、巻き込まれた人や車はいない。道路に併設したガードレールなどは破損したが、大沢駐車場への被害は確認されていない。
県道路公社によると、富士山5合目の雨量計は9日午前2時から午後1時までに198ミリの降雨を観測していた。9日に標高約2100メートル付近の大沢崩れで観測された雪が解けたり、積もった雪に雨が染み込んだりして周辺の土砂を巻き込んで崩れる「スラッシュ雪崩(雪代)」とは場所が異なる。
県は10日、土砂が流入した場所から5合目までの調査を始め、終了後に土砂の撤去を進める。再び土砂が流入しないよう、防護柵を設置するなど対応策を講じて安全を確保した上で、全線開通を目指すという。道路整備課の担当者は「調査が終わっておらず、現時点でいつ開通できるかは分からない」と話している。
(2024年4月11日付 山梨日日新聞掲載)