2024.3.22

麓から富士登山推進 文化財把握、検討会も 県が現地調査へ

 県は新年度、富士山吉田口登山道を対象に、麓からの登山者を増やすための取り組みを本格化させる。5合目までの登山道で現地調査をし、信仰の道として栄えた文化的価値を把握するほか、地元関係者との検討会を立ち上げる。麓からの登山に目を向けてもらい、5合目から夜通しで山頂を目指す弾丸登山の抑制などにつなげたい考え。

 県世界遺産富士山課によると、対象の登山道は北口本宮冨士浅間神社付近から5合目までを想定。江戸時代に最盛期を迎えた富士講の信仰登山の本道として、親しまれてきた歴史がある。
 県は今後、現地調査で現存の文化財を把握するほか、かつてあった小屋や茶屋に関する情報を集めるなどし、登山道の歴史的価値を確認する。また、先行して麓からの登山の再興に取り組む富士吉田市や民間団体などと検討会を設け、登山者を呼び込むための方策を協議する。調査や検討会設置の時期は未定という。
 市のまとめによると、2023年の夏山シーズンに6合目を通過した登山者数は16万449人。対して、麓からの登山者は1割程度の1万3189人にとどまった。
 23年夏、5合目から上の登山道は山頂で御来光を眺めようとする弾丸登山者らで混雑したほか、仮眠、たき火などの行為も相次ぎ、問題視された。県は麓から登ることの魅力を掘り起こし、広く発信することで、登山の目的や時間帯が変わり、問題の改善につながることを期待している。

(2024年3月17日付 山梨日日新聞掲載)

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