2023.9.26
富士信仰の歴史体感 山梨郷土研究会 散策会 下吉田に焦点
山梨郷土研究会は23日、富士吉田市内で歴史を学びながら歩く散策会を開いた。富士山信仰と密接に関わる下吉田地区に焦点を当て、道者が体を清めた地や古くからある神社を巡り、地域の歴史文化をひもといた。
年3回、県内各地を散策して巡る「シリーズ・現地で学ぶ」の一環。会員や一般から約30人が参加した。講師は山梨郷土研究会常任理事で、県立富士山世界遺産センター学芸員の堀内真さんが務めた。
一行は、富士山へ登る道者が「みそぎ払い」をして体を清めた愛染地蔵堂を見学。石碑近くを川が流れており、堀内さんは「富士山の信仰的な入り口としての役割を果たしていた」と解説した。
小室浅間神社も訪問。富士山の下宮であり、地域に争いや災害がないよう馬のひづめの跡で占う「流鏑馬」、農作物の豊凶や富士山の登山者数を占う「筒粥」などの神事が800年以上続く歴史に触れた。
流鏑馬が行われる同神社の馬場では、現在の状況と、富士山の雪が土砂と一緒に流れ出した1961年の「雪代」によって、同所など麓まで被害が及んだ様子をとらえた写真を見比べた。噴火の際に神社裏に達した溶岩も見学した。
市内の富士山信仰ゆかりの地では、富士講信者を泊めた御師の家がある上吉田地区が有名だが、堀内さんは「下吉田地区も富士山信仰に密接に関わる。富士山の登り口と言える地域」と解説した。
(2023年9月24日付 山梨日日新聞掲載)
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