2023.6.12

富士山鉄道 反対姿勢鮮明に

 富士吉田市の堀内茂市長は9日の定例会見で、長崎幸太郎知事が6月定例県議会に提出する一般会計補正予算案に富士山登山鉄道構想の事業化に向けた検討費を盛り込んだことについて「不要なものを乗せたなという思いだ」と指摘し、「必要性を全く感じない。はっきり申し上げて反対だ」と強調した。富士山登山鉄道について、堀内市長はかねてから慎重なスタンスを取っていたが、反対姿勢を鮮明にした。

 堀内市長は「富士山を傷つけず、守ろうという機運が高まっている」と説明し、鉄道ではなく電気バスで代用可能であると主張。5合目に電気ケーブルを通すことによって、重油による発電機使用に伴う二酸化炭素(CO2)の削減や噴火の兆候を調べる観測機器のデータ収集に役立つとの見解を示した。

 また「富士山は信仰の山であり、心の古里、大切な宝である。現状の中で環境保全をやっていくことがなによりも大切だ」と訴えた。

 会見後の取材には「(富士山登山鉄道構想は)砂上の楼閣だ。実現不可能なことだ」と語った。

(2023年6月10日付 山梨日日新聞掲載)

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