千本桜復活へ第一歩 旧吉田口登山道
地元、苗木350本を植樹 山梨国体選手団に見てもらおう
旧吉田口登山道に千本桜を復活させよう-と23日、富士吉田市、同青年団連絡協議会会員らが桜の苗木350本を植樹した。市では往年の桜並木を61年の国体までに復活させようと計画、富士山をきれいにする会が苗木を提供し実現した。3年計画で完成し、富士山麓国体が実現すると、各県選手団を桜並木で迎えることになる。
富士吉田市上吉田の浅間神社から富士山5合目に通ずる旧吉田口登山道は富士山有料道路の開通ですっかりさびれ、ジープで登るのがやっと。夏場に一部の登山者が利用するだけで、往時をしのぶものは沿道にわずか数本残った桜の老木だけ。
市では数年前からふるさとの民話を残そうと収集してきたが、旧登山道に千本桜があったことがわかった。
地元郷土史家らの話によると昔はカラマツ、アカマツはなく、ススキなどの原野。富士講の人々やカヤを刈る地元民に木陰を提供しようと桜を植えたらしい。それが見事な桜並木となり、沿道は“ひと目千本”の名前となった。
大正から昭和の初めにかけては大勢の人が桜見物に詰めかけたという。しかし戦前から戦後にかけて道路は荒れ、富士山有料道路の開通で沿道はさびれ、桜並木も消滅した。
市ではさっそく桜道の復活を計画、苗木はこれまで山麓に13年間植樹を続けてきた富士山をきれいにする会が提供、地元の青年団員が労力奉仕を買って出た。この日は計画中の富士山大規模公園の取り付け道路ともなる旧登山道の改良工事が済んでいる泉瑞入り口から防衛道路手前50メートル付近まで約600メートルに植樹した。
午前10時、青年団員65人が泉瑞入り口に集合、石原茂市長が記念植樹をした後、一斉に植えた。
市では3カ年計画で650本を植樹し、61年山梨国体を誘致し、選手を桜並木で迎えたい考えで、大規模公園計画も着々と進んでいる。 【当時の紙面から】
(1978年4月24日付 山梨日日新聞掲載)