展望テラスに集客力
忍野・二十曲峠整備 狭い林道アクセス課題
忍野村内野の二十曲峠に「二十曲峠展望テラス~SORA no IRO~」がオープンしてから4カ月が経過した。忍野八海と並ぶ観光拠点として村の魅力を創出することが目的で、富士山の大パノラマを見ようと多くの観光客が楽しんでいる。一方で、村市街地からテラスに向かうためには道幅が狭い道路を通らなければならず、事故も発生。「道幅が狭く、すれ違いが怖い」などとの声が上がっていて対策が待たれる。
「すごいとしか言えない景色」。仕事の途中で展望テラスに立ち寄った仙台市の50代女性は、テラスから見える富士山の雄大さに感嘆した。「こんなにきれいに富士山を見ることができる場所があったとは。ここの景色を見る価値はあり、(テラスを設置した)村は良いことをやってくれたと思う」と感心。ただ、テラスに向かう道については「幅が狭いと感じた」と話していた。
テラスは昨年9月13日にオープン。広さは約270平方メートルで、空中に突き出すように設置されたテラスからは雄大な富士山を望むことができる。「富士山と南アルプスを同時に見ることができる場所はなかなかない」(村担当者)。二十曲峠からの眺望は国土交通省の「富士見百景」にも選ばれ、山を縦走するトレイルランナーの休憩場所や、写真愛好家の撮影スポットとして「知る人ぞ知る場所」(村担当者)だったという。
経済効果期待
秋の紅葉シーズンには週末を中心に多くの観光客が訪れ、展望テラス周りは県内外から訪れた車で混雑した。テラスから日の出を見ようと、明け方から訪れる人も多くいるという。展望テラスに向かう道路の店からは「二十曲峠に向かう道順を聞くドライバーが増えた」「初めて店に来るお客が多くなった」など、テラスの集客力を実感する声が上がる。村は観光名所の忍野八海から展望テラスへと向かい、村での滞在時間を延ばしてもらうことで経済面でのプラス効果も期待する。
オープンから4カ月が経過し、課題も見えてきた。テラスは二十曲峠の頂上にあり、約3.3キロの林道を抜ける必要がある。道幅は約4メートルのセンターラインがない道路で、乗用車や大型の車ではすれ違いが困難な場所もある。大型バスも通ることができず、村も大型バスでは通行できない旨を呼びかけている。オープンから4カ月で少なくとも1件、車同士の事故も発生した。
県と対策検討
短期的な対策として、本年度中にも危険なカーブにカーブミラーを設置するなどする予定だが、根本的な解決には至らないのが現状。林道という性質上、村の独断で拡幅などを行うことができず、担当者は「事実上の観光道路であることも踏まえ、拡幅などができるか否かを含めて県と相談しながら対策を検討していくことになる」と話す。
村は今後、テラス周辺に広場を作り、観光拠点としての整備をさらに推し進める方針。テラスへのアクセスの課題は置き去りになる可能性もあり、ある村議は「まさに『もの』だけつくってしまったという感じ。今後は公園も整備するというが、課題解決への対策がどのように図られるのか、村の動向を注視していく」と話していた。
(2023年1月24日付 山梨日日新聞掲載)