上吉田450年 歴史たどる
富士吉田で企画展 随神像など展示
富士吉田市のふじさんミュージアムで企画展「富士山登山口上吉田と吉田胎内の歴史」が開かれている。今年は上吉田の町が成立して450年、吉田胎内が発見されて130年に当たる年で、初公開を含む資料を展示し、歴史をひもとく。今年、市文化財に指定された2体の随神像も公開している。
ミュージアムによると、現在の上吉田は2度の移転を経て1572年に成立した。始まりは3~4世紀の古墳時代、現在の上吉田の南東部に位置した「小佐野」。14~15世紀にかけて西隣の「古吉田」に移り、富士登山者らの宿場町となったと考えられる。
1572年に西に隣接した土地に移転し、現在の上吉田が誕生。富士山の雪代が町を襲ったことが移転の大きな要因として考えられるという。町は関東地方を中心とする大勢の富士登山者を受ける「御師の家」として栄えていった。
今回の企画展では、「小佐野」の遺跡で出土した古墳時代のつぼや、時代ごとの絵図、移転に伴って桂川から水を引いた用水路の図面などを展示。上吉田から見えたとされる宝永噴火(1707年)の様子を描いた絵図は、初公開となる。北口本宮冨士浅間神社に伝わり、今年、市の文化財に指定した高さ1.26メートルの2体の「木造随神倚像」も公開している。
世界文化遺産・富士山の構成資産で、富士山噴火によってできた溶岩洞穴「吉田胎内樹型」は、現在の埼玉県志木市の「丸藤講」の先達・星野勘蔵が1892年に発見し、今年で130年。樹型の測量図や大正時代の参拝者の名を記した帳面、星野勘蔵が測量図を模写した際に送ったお礼の手紙などを公開している。いずれも初公開という。
ミュージアムの担当者は「今の上吉田の町が完成していった歴史を感じることができる。貴重な資料も多数あるので、見てもらいたい」と話している。
企画展は来年1月30日まで。毎週火曜休館。11月23~28日はメンテナンスのため、休館。午前9時半~午後5時(最終入館午後4時半まで)。一般400円、小中高生は200円。市民は無料。
(2022年11月10日付 山梨日日新聞掲載)