2022富士登山者アンケート[1]
富士山噴火に対する意識
「山の日」(8月11日)に合わせ、山梨日日新聞は静岡新聞と合同で、富士山噴火に対する意識などに関するアンケートを富士山の登山者200人に実施した。噴火時に身を守るヘルメットや防じんマスクなどの装備を携行していない人が8割以上だったが、「いつ噴火してもおかしくない」との回答が過半数を占めた。噴火に対する意識は高まった一方、準備には結び付いていない現状が浮き彫りになった。
アンケートは2022年7月29~31日、山梨、静岡側で各100人の登山者に対して行った。
富士山噴火に対する意識を尋ねたところ、「いつ噴火してもおかしくない」が55.5%で、「いつかは噴火するが、今はしない」が41.0%、「噴火するはずがない」が3.5%だった。噴火に対する意識を持ち合わせている登山者が大半を占めた。
一方、ヘルメットや防じんマスクなど噴火対策の装備を用意したかの質問には「用意していない」が84.0%で、「用意した」の16.0%を大きく上回る結果となった。登山者情報や緊急連絡、行動予定などの「登山届」についても「提出してない」が58.5%で、「提出した」の40.0%を上回った。噴火への危機意識が実際の行動につながっていないことが浮き彫りになった。
富士山では、5600年前から少なくとも175回の噴火が発生。最後の噴火は1707年の「宝永噴火」とされている。2014年9月には岐阜、長野両県にまたがる御嶽山が噴火し、登山者ら58人が死亡、5人が不明になる惨事も起きている。
山梨、静岡、神奈川3県などでつくる「富士山火山防災対策協議会」が昨年3月、最新の研究に基づき、従来の想定を超えた噴火被害を想定したハザードマップ(危険予測地図)の改定版を公表した。
今年3月の避難計画の中間報告では、溶岩流からの避難に際して渋滞発生による逃げ遅れを防ぐため、「一般住民は原則、近くに徒歩で避難する」との新方針を示している。麓の富士吉田市では9月の防災訓練で「徒歩避難」を取り入れ、住民への意識啓発を図る。
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山梨日日新聞と静岡新聞による富士山登山者を対象にした合同アンケートで、富士山噴火に対する意識や新型コロナウイルス対策、山梨と静岡両県が検討する入山料義務化の是非、富士山登山鉄道構想の賛否について聞いた。それぞれの結果を紹介する。(全5回)