噴火被害想定地図 改定後初の訓練
「市街地近く」対応確認
山梨県と県内10市町村は27日、富士山噴火の避難訓練を実施。ハザードマップ改定版で新たに噴火口として設定された雁ノ穴火口(富士吉田市)で発生したと想定し、市街地に近い場所で噴火した場合の対応を確認した。
3月にハザードマップが改定されてから初の実動訓練。富士吉田や富士河口湖など10市町村から職員や地元住民ら約500人が参加した。富士山の噴火警戒レベルが7月13~14日に「3(入山規制)」「4(避難準備)」「5(避難)」と引き上げられ、14日正午に富士吉田市街地に近い雁ノ穴火口で噴火したとの想定で実施した。
富士吉田市では噴火口に近く、噴石が飛んでくる可能性がある同市の新屋、上宿の両地区住民や市内全域の高齢者ら約200人が避難所が設けられた下吉田二小に避難。噴火が発生し、市役所に溶岩流が到達する恐れがあるため、溶岩流の影響がない市民会館に災害対策本部を移転した。
噴火を受けて、避難所に避難者が集中。受け入れ人数を上回ったため、想定では溶岩流が到達する可能性がない山中湖村と富士河口湖町に約120人を移動させる訓練も実施。参加者は大型バスや自衛隊車両に乗り込み移動した。
山中湖村は、降灰などの影響で道路が渋滞する可能性を踏まえ、山中湖の対岸に船で避難する訓練を実施。西桂町は西桂中体育館で避難訓練をした。改定版ハザードマップで新たに溶岩流が到達するとされた大月、上野原両市は担当者が訓練を視察した。
県防災危機管理課の担当者は「訓練の成果を今後策定する市町村の避難行動計画や広域避難計画に反映させていきたい」と話した。
(2021年11月28日付 山梨日日新聞掲載)