2021.11.30

富士山噴火 近隣避難も

移動時の渋滞緩和へ 県計画改定

 富士山噴火を想定した広域避難計画の改定で、富士北麓地域の近隣市町村への避難も含めて検討していることが27日、県への取材で分かった。現行計画は国中地域への避難が中心だったが、3月に改定したハザードマップでは火口ごとに詳細な噴火シミュレーションを示しており、北麓地域内でも溶岩流の影響のないエリアへの避難が可能になった。県などでつくる協議会は27日実施した避難訓練の結果も踏まえ、年度内にも新しい広域避難計画を策定する。

 県によると、現行の広域避難計画は富士吉田市や鳴沢村など富士北麓地域から、甲府市や韮崎市、身延町などの国中地域への広域避難を推奨。44カ所の火口を設定していたが、火口ごとの溶岩流の到達エリアは示していなかった。

 3月に公開した改定版ハザードマップでは、約250カ所の火口ごとに溶岩流が到達する詳細なエリアを図示。火口の位置によっては、富士山麓でも溶岩流が到達しないエリアがあり、「国中地域に限らず、影響が及ばない近隣市町村への避難を想定することが可能になった」(県防災危機管理課)という。

 同課によると、避難に介助を必要とする要支援者は、長距離の移動が負担になるため、安全が確保されていれば近隣の市町村への避難が望ましいという。また、一斉に国中地域に向かうことで交通渋滞が発生することも懸念されるため、移動距離を短くし、渋滞を緩和させる狙いもある。

 協議会は9月に広域避難計画改定に向けた検討委員会を立ち上げ、見直しに着手している。本年度中に計画の策定を目指す。その後、広域避難計画を参考に、各市町村が避難行動計画の策定に入る。

 県防災危機管理課の担当者は「溶岩流が到達しない地域の人まで一斉に避難すると、交通渋滞などで避難が円滑に進まない可能性がある。そういったことも考慮した広域避難計画にしていく必要がある」と話している。

(2021年11月28日付 山梨日日新聞掲載)

広告
月別
年別