〈ハザードマップ改定〉避難者優先順位つけて
富士山科学研究所 吉本主幹研究員に聞く
富士山科学研究所の吉本充宏主幹研究員は3月26日までに、富士山噴火時の改定版ハザードマップに関して山梨日日新聞のインタビューに応じた。溶岩流の到達範囲が広がり、到達時間が早くなったことについて「一斉に避難するのではなく、逃げるべき住民を適切に避難できる体制を検討するべきだ」と語った。
一問一答は次の通り。
-ハザードマップが改定された。旧マップからの変更点は。
「昨年の中間報告から1年がたち、今年は大規模、中規模の溶岩流と融雪型火山泥流の状況が判明した。特に溶岩流は想像していたよりも広範囲に流れることが分かった。県内では上野原市まで達し、従来よりも早く溶岩流が到達することになる」
-噴火が起きてから逃げることはできるのか。
「地震は突然、襲ってくるが、富士山は噴火してから溶岩流が市街地まで到達するのに2時間の猶予がある。健常者であれば、かなり遠くに逃げることができる」
-ハザードマップの活用方法は。
「マップを見て自分が住むエリアにはどのような影響が及ぶのかを見てほしい。2、3日かかって到達するエリアについては焦る必要はない。地域住民がマップを見てさまざまなケースを想定し、避難行動について話し合ってほしい」
-避難計画を見直す際の重要な視点は。
「今までは噴火したら一斉に車で避難する計画になっているが、渋滞が発生して避難できない可能性が高い。優先順位をつけ、火口に近いエリアの住民や要配慮者らから段階的に避難させるべきだ。富士北麓地域内の安全な場所にいったん避難し、様子を見て国中地域などに避難する考え方も必要になる」
(2021年3月27日付 山梨日日新聞掲載)