2021.2.19

富士登山に事前予約制

専門委、入山料徴収で提言へ

 富士山保全協力金(入山料)制度の在り方を検討している有識者らの「富士山利用者負担専門委員会」は16日、オンラインで会合を開き、富士山の6合目から先の登山について、事前予約などの条件を付けることを提言する検討結果をまとめた。現在は任意で集めている入山料を、「法定外目的税」として徴収する方策として選択肢に挙げた。

 検討結果では、入山料の徴収対象は山梨県側の吉田口登山道の場合、6合目から先に立ち入る来訪者と設定。入山の条件として事前予約制のほか、立ち入りの認定制、安全登山の事前レクチャー受講などを想定し、これらの手続きの際に手数料と合わせて税を徴収する。徴収率が向上し、富士山の環境保全や登山の質向上に向けた施策に充てられると判断した。

 ただ、入山条件を付けることに課題は多いとみられる。県世界遺産富士山課の担当者は「道路法などの関係法令で、来訪者を抑制できるか検討が必要。登山者が減ることも想定され、地元自治体や事業者との合意形成も求められる」としている。6合目に設置する窓口にスタッフを常駐させる必要もあり、コスト面も課題という。

 入山料は現在、「富士山保全協力金」の名称で5合目から先に立ち入る登山者らを対象に1人千円を任意で徴収している。制度が本格導入された2014年から19年までに、吉田口登山道の協力率は52.9~68.0%。入山料を支払わない登山者がいることに不公平感があるとの指摘があり、専門委が制度の在り方について協議を重ねてきた。

 専門委は、3月に開かれる山梨、静岡両県などでつくる「富士山世界文化遺産協議会(遺産協)」の作業部会で検討結果を報告する。

 同課担当者は「課題は多いが、今後の対応については遺産協などで議論していくことになる」と話している。

(2021年2月17日付 山梨日日新聞掲載)

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