〈カーリング日本選手権〉富士急 北京の夢散る
カーリングの日本選手権第6日は13日、北海道・稚内市みどりスポーツパークで変則方式の決勝トーナメントが行われ、山梨県勢で女子予選リーグ4位の富士急(小穴桃里、小谷優奈、石垣真央、小谷有理沙、苫米地美智子)は1回戦で予選3位の中部電力と対戦。4-7で敗れ、北京五輪出場の道が断たれた。富士急は序盤に相手のミスからチャンスをつくり、小穴がドローショットを決めるなどして得点し、前半を3-2で折り返す。後半から守勢に回り、第6エンドに2点を失って勝ち越され、第7、8エンドは有利な後攻だったが、得点できずに突き放された。第9エンドで1点を返すも第10エンド途中でギブアップした。富士急が北京五輪に出場するには今大会での優勝が絶対条件だったが、4位が確定した。
変化する氷 読み切れず
第10エンド。中部電力にダブルテークアウトを決められると、富士急のスキップ小穴桃里は相手選手に頭を下げ、ギブアップを告げた。「これが実力」。試合後、現状を受け入れるように言葉を絞り出した。
小穴は「試合中に変わるアイス状況の変化に対応できなかった」と敗因を分析した。第5エンドでテークアウトが決まらずに1点にとどまった。後半は有利な後攻にもかかわらず失点を重ねた。もう少しストーンの勢いがあれば、もう少し厚く相手の石に当たれば-。氷を読み切れない場面が多かった。
平昌五輪を逃したチームは悔しさをバネに成長を重ね、2018年の日本選手権で優勝、世界選手権も経験した。メキメキと力を付け、五輪を狙う「4強」の一角に数えられるまで成長した。
プライベートでも共に過ごす日々が多く、「家族同然」(小穴)と言えるまで絆は強くなった。それでも、ロコ・ソラーレ、北海道銀行、中部電力のライバルに一度も勝てなかった。「鍵となる場面でショットを決めきれるか(どうか)。石、半個分の差が大きい」と小穴は肩を落とした。
25歳の小穴にとって「年齢的にも第一のターゲット」だった北京五輪は消えた。「すぐに気持ちは切り替えられない」としながらも、「世界を目指したいという思いは消えていない」と続けた。チーム創設者の故小林宏さんが掲げた「トップ・オブ・ザ・ワールド」への挑戦は終わらない。
(2021年2月14日付 山梨日日新聞掲載)