2020.10.14
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山日紙面で見る富士山 /
10月 /
ハクウンラン発見 富士山麓で初めて
富士山麓で野生ランの一種ハクウン(白雲)ランが初めて見つかった。北富士工業高教諭で植物研究家の渡辺菊夫さんが確認し、写真に収めたもので「ハクウンランは国内でも珍しく、県内ではこれまで発見の報告は一例もない」と話している。
このランは8月、富士吉田市上吉田、富士山1合目下の標高1000メートル付近に数十本が群生しているのを発見した。しかし、アリドウシランとよく似ていることから確認作業を続け、このほどハクウンランに間違いないことがわかった。特色は背丈10センチ内外で、地面近くに3、4枚の花がつき、花は10個程度。特徴の一つである花は、白い唇弁の先端が四角で、前方中央部分に切り込みが入っている。花の大きさは長さ1センチ、幅5ミリと小さいが、真白い花は白い雲を連想させる。
このランの由来は戦争中、朝鮮半島の白雲山で初めて見つかり命名された。国内の植物学界ではこれまで、国内の同種ランが朝鮮半島のものと同じハクウンランとする意見と、別のオオハクウンランとする見方があり論議を呼んでいる。渡辺さんは「富士山麓のランが、今後こうした学界の論争資料の一つになる」と話している。 【当時の紙面から】
(1980年10月14日付 山梨日日新聞掲載)広告