富嶽図を集大成
日本一高い山、富士山。古代から日本人の暮らしや意識の中にとけ込み、数多くの画家たちによって描き続けられてきた。そうした富嶽図を集大成した「日本の美 富士」(美術年鑑社・2000年刊行)。
現存する最古の富嶽図である法隆寺旧蔵の秦致貞(はたの・むねさだ)筆「聖徳太子絵伝」(東京国立博物館所蔵)から始まって、平安時代から現代にいたる富士山の絵や書、写真作品410点をカラー図版で紹介。
この中には山梨県富士河口湖町の洋画家松浦正宗さんの「茜雲シリーズ」をはじめ、洋画家守山茂さん(甲府市古府中町)の「麗山」、南アルプス市出身の書画家小笠原環山さんの「黎明富士」、同じく山梨出身の書家弦田康子さんの霊峰を文字でかたどった書「富士」、富士吉田市の写真家飯島志津夫さんの作品など県関係者も登場。
また、洋風画研究者成瀬不二雄さんの「文学にみる富士」や浮世絵研究家永田生慈さんの「浮世絵に描かれた富士」などの富士山論も収められている。さらに富士吉田市の動物写真家中川雄三さんが、「汚れる富士」と題して、環境問題に対して警鐘を鳴らしている。
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