心のきれいな人には富士が…
山梨県中央市大鳥居の畑の一角には「心のきれいな人には水面に富士山が映って見える」と言い伝えられてきた「富士池」がある。
豊富村誌などによると、富士池の伝説は地域の民話「おしのと富士池」に記されている。集落の住人が水を求める行者に池からくんできたばかりの水を与えたところ、行者はその池で詩を書き、住人に渡した。しばらくして住人が池を訪れると、池の水面に集落から見ることができない富士山が映った。病気で寝込んでいた父に池の水を飲ませると、病気が治ったという。
市最高峰のたいら山などにさえぎられるため、池のある豊富地区から富士山を見ることはできない。昭和後期までは水が張っていたが、現在はなくなっている。池のそばにある古碑には「富士の山お姿うつる鏡池 今も誠に見る人ぞ見ゆ」という詩が記されていて、富士講の一つ「大我講」を表す笠印がある。
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