麓の地図、南北が「逆」
山梨県富士吉田市など富士北麓地域の地図には、南北を逆転して富士山を上方に描いたものが数多く見られる。「富士山を下にすることはできない」という意識があることや、日常生活の目印となっていることが関係しているという。
市内では、資源物の収集所マップやふじさんミュージアムのパンフレット、吉田のうどんマップなどで南側にある富士山を上に配置。新聞の折り込みチラシなどでも、正しい方位を示しながら霊峰を上方に置いていることが多い。
ふじさんミュージアムによると、富士北麓地域では江戸時代から村絵図で富士山を上に描いてきた。学芸員の布施光敏さんは「富士山を仰ぎ見て暮らしていた人たちにとって、富士山が地図でも上にあるのが自然だったのではないか」と説明する。
現在でも、地元では富士山方面に行くことを「上る」、逆を「下る」と言うことがあり、布施さんは「信仰してきた富士山を『上』に位置づけて生活していることの現れではないか」と話している。
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