1つ前のページに戻る

2019.12.15 所属カテゴリ: 山日紙面で見る富士山 / 12月 /

天気のことわざ集大成 北麓の1万件分類

 元河口湖測候所所長の細田剛さんが、在職中に集めた天気にまつわることわざをもとに「富士山北麓のことわざと気象」という本を作った。「富士山に雪が7回降ると、ふもとにも降る」「北富士演習場大砲の音がよく聞こえると雨」など、地域の特色が表れたことわざをたくさん収め、気象学的な立場から分かりやすい解説を添えている。細田さんは「身近なことわざから、気象知識の普及に役立てたい」と話している。

 細田さんは島根県出身で、昭和18年に旧満州の観象台に入り、61年に東京航空地方気象台で退職するまで、予報や防災業務に携わった。河口湖測候所には59年4月から60年3月まで勤めた。細田さんは「富士山に心を惹かれた。そのふもとに住む人たちが言い伝えてきたことわざを耳にした時、資料にして残したいと思った」と話す。「天気予報が科学的に詳しくなるにつれて、天気に関することわざが消えていってしまうのではないか」という心配もあったという。

 細田さんは、富士吉田市と河口湖町両教委の協力で15の小中学校の児童生徒約2800人に、各家庭でことわざを聞き集めてもらった。1万566のことわざが集まった。富士山関係が2641と最も多かった。「気象予知のことわざ」として「虹」「雨」「梅雨」「雪」など48項目に分類した。

 「富士山北麓のことわざと気象」はB5判、305ページ。自費で500部作り、富士吉田市などに配っている。 【当時の紙面から】

(1990年12月15日付 山梨日日新聞掲載)
広告