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2019.10.24 所属カテゴリ: 山日紙面で見る富士山 / 10月 /

森林宝庫と観光開発 8年ぶりに滝沢林道完成

富士山5合目 自動車乗り入れも可能

 富士山へ観光客をよびよせるとともに、森林の豊庫を開いて、20万石の原始林を開発しようと、県では昭和26年から吉田口登山道中ノ茶屋から、5合目佐藤小屋下へ通じる滝沢林道を工費3900万円、作業員のべ6万人を動員して建設中だったが、このほど8年振りにやっと完成した。

 この林道は総延長16キロ幅4.5メートル、平均傾斜12分の1のゆるやかな道で、既設の吉田口登山道が馬返し(標高1800メートル)で自動車が止まるのに比べ5合目まで入れるので、遅れていた吉田口の観光開発には大きなプラスとなる。

 工費は一部地元負担のほか大半を国と県の負担で完成したが、さらに引き続き終点から5合目佐藤小屋西へ出る道路500メートルも、工費206万円ですでに着工し、11月末には完成するので来年の夏山シーズンには、吉田口からも自動車登山が可能となる。

 これで船津口と吉田口を結ぶ富士山循環登山道の計画も夢でなくなったワケだが、船津口では3合目からお庭へ通じる林道がすでに800メートル近くでき上がっている。なお吉田口2合目付近から静岡県境の小富士へ通じる道路5キロも、来年着工する計画を進めているが、観光開発と並んで滝沢林道一帯に眠るブナ、ツガ、シラベ、天然カラマツなど20万石(約2億円)の伐採運び出しも来春から始められる。【当時の紙面から】

(1958年10月24日付 山梨日日新聞掲載)
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