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2018.12.24 所属カテゴリ: 山日紙面で見る富士山 / 12月 /

富士山環境対策会議を設置 美化体制の強化へ 環境庁、山梨、静岡の3者

 増え続ける富士山のゴミを追放しよう-と23日、静岡県御殿場市新橋のホテルで環境庁と山梨、静岡の両県関係者が参加し富士山自然環境保全対策会議を設置した。同会議では今後富士山の美化清掃体制の強化、自動車利用の適正化対策などを打ち出してゆくが、来年6月の中、下旬に2回両県から2万人の清掃隊員を動員しゴミを一掃する一大クリーン作戦を展開することを決めた。

 対策会議には環境庁から金子太郎自然保護局長、新津博典同局企画調整局長らが出席、山梨県からは田辺国男知事、雨宮栄県民生活局長はじめ関係各課の課長、静岡県からも山本敬三郎知事ら各関室、課長らが出席した。

 まず金子局長が「全国の観光地で、年々ごみの問題は解決されてきているが、富士山だけが取り残された。国と両県が力を合せて今後取り組みたい。防衛庁に働きかけ、全国の各種団体に呼びかけ強力に取り組む決意だ」とあいさつした。田辺知事は「山梨では、南アルプスにレンジャー部隊を配置し成果を上げている。富士山については昭和37年から民間の富士山をきれいにする会を中心にボランティアの力を結集してきた。しかし限度があり今後3者で力を合せてゆきたい」と語り、山本知事も「観光客だけでなく山小屋業者の意識にも問題があり、山梨、静岡の業者同士の話し合いを実現させたい」とあいさつして具体的協議に入った。

 まず対策会議設置要綱を決め、要綱では(1)富士山における美化清掃体制の強化策として今後投棄されるゴミの徹底処理対策、今後の恒常的清掃対策を行う(2)富士山の自動車利用適正化対策の強化を行う-ことを決めた。ごみ対策としては空かん対策として紙カップの研究、マナーの向上対策、入山料導入の検討、レンジャー、監視員の強化、車規制-などを今後国と両県で構成する事務担当の幹事会で協議していく。

 また、両県知事が徹底的に清掃することを提案、国も参加、各種民間団体、ボランティアを動員して来年6月の環境週間にクリーン大作戦を行うことを決めた。静岡、山梨の両県からそれぞれ1万人を動員、中旬には5合目以下を、上旬には5合目以上のごみを一掃する。同時に啓発運動に力を入れ、富士山での美化運動を期に全国的に観光地のクリーン化の普及効果をねらう。 【当時の紙面から】

(1978年12月24日付 山梨日日新聞掲載)
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