富士山と旭岳の初冠雪
季節の便りのひとつ、山々に冬の訪れを告げる「初冠雪」。その年の気象の目安ともされ、各地の気象台や測候所が地元の山について観測し発表しているが、新聞やテレビの全国ニュースでもよく耳にするのが、富士山と北海道の大雪山系旭岳の初冠雪である。
初冠雪とは、その年の山頂での1日の平均気温が1年で最も高い日以降で、「対象とする山の一部が雪などの固形降水により白くなった状態を、地元の気象台や測候所から初めて観測できたとき」とされていて、「初雪」とその観測方法が異なる。また雪などが実際に降った当日とも異なる場合もある。
富士山は甲府地方気象台が1894年から、旭岳は旭川地方気象台が1888年からそれぞれ観測している。それによると、最早(最も早い観測日)こそ富士山の方が早いが、平年値、最晩(最も遅い観測日)は旭岳の方が早い。2000年以降でも、富士山の初冠雪の方が早かった年は5回。そのうち2012年は、富士山が9月12日だったのに対し、旭岳は10月14日(観測史上2番目に遅い記録)と1カ月以上も遅い観測だった。ちなみに麓の旭川ではこの年、真夏日となった日が最も遅い日(9月18日=32.9度)を記録している。
なお、甲府地方気象台では、南アルプス・甲斐駒ケ岳(標高2967メートル)についても、1928年から初冠雪の観測を行っている。最早は1951年9月26日。最晩は1993年11月24日。平年値は10月30日(統計期間1991〜2020年)。これまでに、富士山と同じ日に観測されたことはあるが、富士山より早く観測された日はない。なお2021年は10月20日。
みなさんがお住まいの地域では、冬の訪れを告げる「山」は何ですか?
富士山 | 旭岳 | |
平年値 | 10月2日 | 9月25日 |
最 早 | 8月9日 (2008年) | 9月6日 (1925年) |
最 晩 | 10月26日 (1956年、2016年) |
10月15日 (2004年) |
2000年 | 9月4日 | 10月6日 |
2001年 | 9月22日 | 9月20日 |
2002年 | 9月27日 | 9月24日 |
2003年 | 10月6日 | 9月21日 |
2004年 | 10月21日 | 10月15日 |
2005年 | 10月11日 | 9月21日 |
2006年 | 10月7日 | 9月23日 |
2007年 | 10月6日 | 9月25日 |
2008年 | 8月9日 | 9月24日 |
2009年 | 10月7日 | 9月12日 |
2010年 | 9月25日 | 9月22日 |
2011年 | 9月24日 | 9月22日 |
2012年 | 9月12日 | 10月14日 |
2013年 | 10月19日 | 9月19日 |
2014年 | 10月16日 | 9月16日 |
2015年 | 10月11日 | 9月29日 |
2016年 | 10月26日 | 9月29日 |
2017年 | 10月23日 | 9月30日 |
2018年 | 9月26日 | 9月20日 |
2019年 | 10月22日 | 9月21日 |
2020年 | 9月28日 | 9月26日 |
2021年 | 9月26日 | 10月6日 |
2022年 | 9月30日 | 10月5日 |
山梨日日新聞社総合データベース、気象台報道発表資料より ※平年値の統計期間は1991~2020年 |
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