1つ前のページに戻る

2018.9.02 所属カテゴリ: 山日紙面で見る富士山 / 9月 /

富士山有料道路 マイカー規制を恒久化 県方針

 山梨県は、県営富士山有料道路のマイカーをゴールデンウィーク、旧盆など車の混雑が予想される日に限り、規制する方針を固めた。5合目周辺の混雑解消と環境保全を図ることが目的。土石流災害の復旧工事が終了した後の来年から実施する。夜間は車両通行止めとする。今後、地元関係機関の要望を踏まえながら実施日や規制時間、さらに復旧工事中の今のように全面規制にするのか、あるいは数量規制にするのかなどを検討していく。来年度終了予定の県の富士山5合目周辺整備事業は、立体駐車場計画を撤退したため駐車スペースは大幅に減る見通し。このため整備事業終了後も規制を継続するとみられ、恒久的なマイカー規制のスタートとなる。

 マイカー規制の実施予定日はゴールデンウィーク、夏休み中の週末、旧盆など、特に混雑が予想される日に限定する。夜間の車両通行止めは安全のため。

 県は有料走路の適性利用、環境保全などを目的に、地元観光協会など関係機関を会員とする富士スバルライン自動車利用適正化連絡協議会(会長・小俣善熙富士吉田市企画部長)を発足させ検討を重ねてきた。協議会では、県の方針が大筋で了承されている。

 規制の実施に当たっては公安委員会と協議し、関係機関の協力を得て細部の詰めをする。夜間のフルシーズン通行止めについては地元関係機関から、夜間登山者への配慮の要望が出されており規制時間の幅について検討していく。

 県は1994年度までの4年計画、総事業費約30億円で富士山5合目周辺整備事業を進めている。当初は三層四階建ての5合目立体駐車場を建設計画だったが、自然保護団体から建設反対の声が相次いだことなどから、今年2月に立体化計画を白紙撤回。平面駐車場とする方向で整備を進めている。

 県企業教などによると、平面駐車場も含めた5合目周辺駐車場スペースは、浸食沢防止工事で減り、現在の約1000台分から約700台分へと、300台分少なくなる見通し。整備終了後も、マイカー規制は必至となる。

 今夏は復旧工事に伴うマイカー規制により、旧盆中の通行台数は四日間で2646台にとどまったが、例年のピーク時は1日で1万台を越え、料金所から5合目ロータリーまで3、4時間かかることもある。ロータリー手前の渋滞は3、4キロにも及んでいた。排ガスによる環境破壊が指摘されていた。

 一方、現在進めている災害復旧工事は、年内完了を目指す。11月以降に盛土工などを集中的に行うため、全車両の通行を4合目大沢駐車場までとし、工事状況を見ながら4合目までマイカーの通行規制を解除したいとしている。

 長野県の上高地では75年、国道158号から大正池など上高地に向かう県道のマイカー規制を導入した。現在は、土、日、祝日のほかゴールデンウィーク、7月中旬から11月3日までマイカーの乗り入れを禁じている。福島、群馬、新潟県にまたがる尾瀬、富山、長野両県の立山黒部アルペンルートもマイカーの乗り入れを規制している。県内観光地では災害復旧、危険防止以外を目的とするマイカー規制は富士山が初めてになる。

 富士山5合目観光協会の小佐野紀之副会長は「これまでピーク時は大変な混雑となり観光客には迷惑を掛けたと思っている。業者としては客が多いのに越したことはないが、期日を限定するマイカー規制であれば、快適な観光を配慮する上で受け入れなければならない」と話している。

 立体駐車場建設に反対してきた「富士山環境保全を考える会」の内藤成雄代表は「県の環境保全を考える姿勢を評価したい。いずれは上高地のようなマイカー規制を導入し、富士山の自然を守っていく必要がある」と語っている。【当時の紙面から】

(1993年9月2日付 山梨日日新聞掲載)
広告