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2019.9.01 所属カテゴリ: 富士山噴火に備える / 防災キーワード /

市街地近くに富士山噴火口

 山梨県富士吉田市の北富士演習場内にある「雁ノ穴」で、国土交通省富士砂防事務所が富士山噴火で溶岩が噴出した形跡を確認していたことが2013年11月、明らかになった。

 同事務所の調査に助言した静岡大の小山真人教授が、富士吉田市内で開かれた火山災害をテーマにした研究会で発表、雁ノ穴が1500年前に噴火したとの見方を示した。

 雁ノ穴は、年約100万人が訪れる観光施設の「道の駅富士吉田」の約2キロ南西で市街地に近接しているが、富士山噴火に備えたハザードマップでは火口ができるエリアとして想定されていない。

 国交省富士砂防事務所は2002~08年度に、上空からレーザーを照射して富士山の地形を計測した。小山教授らの助言を得ながら調査を行い、北富士演習場西側の雁ノ穴に割れ目があることを把握。現地調査で溶岩が割れ目から噴出している形跡を確認した。

 雁ノ穴は標高1000メートル付近にあり、以前から火口である可能性が指摘されていた。しかし火口とする根拠がなかったため、国が2004年にまとめた富士山ハザードマップでは火口ができる可能性がある1次避難ゾーンに指定されていない。火山専門家からはハザードマップの必要性が指摘されている。

 これに伴い、山梨・静岡両県と国などでつくる富士山火山防災協議会は、ハザードマップの見直しに向けた検証を始める。

 また、富士山科学研究所は2016年度に、火口の位置の特定に向けて、噴火の実態を調べる研究に着手する。確認できている雁ノ穴は地下のマグマに直結した火口ではなく、地下を流れた溶岩流の出口跡である可能性があり、火口はさらに南側の上流にあることが予想されるという。2018年度までの3年間でマグマに直結した噴出地点を特定し、溶岩流などの動きを割り出してハザードマップの改訂などに役立てる。
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