道路の真ん中に円形の石 何のため?
山梨県富士吉田市内を南北に走る国道139号(富士みち)。道路の真ん中に点々と、大きな円形の石が埋められた場所がある。一体、何のために造られたものなのか。取材をすると、400年以上の歴史を持つ祭りとの関わりが見えてきた-。
路上に円形の石が見られるのは、国道139号の金鳥居-上宿交差点の間。石は直径約1.5メートルで、センターライン上に約1キロにわたって53カ所に置かれている。一般の道路では見かけることがない光景だ。
「『吉田の火祭り』で燃やす大たいまつを置く台座だったんですよ」。道路を管理する県富士・東部建設事務所吉田支所の担当者が答えを教えてくれた。
火祭りの主役である大たいまつはアカマツやヒノキで作られ、高さ約3メートル、重さ約200キロに及ぶ。路面はアスファルトよりも熱に強いコンクリート舗装が施されているが、約20年前に台座部分により耐熱性のある自然石の「御影石」を置いた。燃えるたいまつが発する熱や、こぼれ落ちた火が路面を溶かす可能性があるため、御影石を選んだという。
ただ、大たいまつは年によって通りに並ぶ本数が変わるため、現在では御影石にぴったり合うように配置されてはいない。祭りの時は、耐熱板と砂を敷き、大たいまつがじかに路面に触れないようにしているので、「火祭りの影響で路面が溶けたりしたことはこれまでない」(担当者)という。
見慣れぬ円形の石は、伝統の祭りのために道路を改良したものだった。意図したほどの効果は発揮されていないとはいえ、地域で伝統行事を守っていこうという気持ちは表れている。
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