「御師料理」観光資源化へプロジェクト
富士講信者の宿坊である御師の家で振る舞われていた「御師料理」の保存、共有、継承に取り組むとともに、観光資源化に向けたプロジェクトが山梨県富士吉田市で進められている。
御師料理とは、富士講信者が宿泊していた御師の家で、信者に提供されていた料理。市は2013年に県内で開催された第28回国民文化祭の一環で、一部の文献などを参考に江戸時代に振る舞われたとされる御師料理を再現。このときの献立はコイの刺身「コイのあらい」、ひじきとジャガイモの煮物、ゴボウの鳥肉巻きなどだった。
ただ、富士吉田市によると、御師の家で一般的に出されていた献立について本格的な調査は実施されていなかった。
プロジェクトでは、市が中心となって御師の家の関係者に話を聞いたり、過去の文献を調査したりして、御師料理の実像を把握、和食の専門家にアドバイスを求めてメニューをつくる。また料理は、市内の旅館やホテル、飲食店で提供するよう働き掛けるほか、学校給食のメニューにも加える方針も打ち出す。
2016年4月に同市役所でプロジェクトの発足式。同年6月には、御師料理について考える講演会が開かれた。
2018年3月には御師料理に関するシンポジウムを開催。プロジェクトに関わる料亭の亭主や御師の家の当主、大学教授らが、「富士吉田の暮らしにみる御師料理の現在と未来」と題して意見を交わした。
2019年4月には学術調査をまとめた「富士山と御師料理」(女子栄養大学出版部)を発刊。また、それまでの成果報告になる講演会も開催。
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2023年3月には御師料理の今後の活用について検討するワークショップを実施。料理の食材や内容、食膳様式、食事作法などをレクチャー。また、同月26日にはこれまでの活動を踏まえ、実際にもてなすお披露目会を開催予定。