神輿、舞で孫の誕生祝う
春。富士北麓に桜咲く4月25日、山梨県富士河口湖町の河口浅間神社では例大祭「孫見祭」が行われる。祭神の木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)が産着を持って孫の誕生を祝う故事にちなむとされる。元は旧暦四月の初申の日に行われていた。
祭りでは地元の小学生が伝統の舞「河口の稚児の舞」を奉納する。この後、氏子や舞を披露した小学生が、神輿とともに河口湖畔で木花開耶姫命の夫婦がまつられている産屋ケ崎神社に御霊と孫の産衣などを届ける「御神輿の渡御」が行われる。かつては同所の局石で富士山に向かって神霊をまつり、それに先立つ稚児の舞は御師の家の娘に受け継がれていた。富士山登拝者でにぎわった御師町の名残を伝える。
なお、「河口の稚児の舞」は1960年に県無形民俗文化財に指定。2013年に国の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選定。2017年3月には国の重要無形民俗文化財に指定された。所作や演目に特色があり、史料によって近世からの変遷過程を推し量ることができる貴重な事例として評価された。
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