風穴の氷、温暖化で縮む?
富士河口湖・NPOが調査
2年前の6分の1に

更新日:2019年02月16日(土)

 富士河口湖町の国指定天然記念物「富士風穴」内で、天井から落ちた滴が凍ってできる「氷筍」が例年に比べ、小さくなっていることが、地元NPO法人の調査で分かった。2016年までは高さ1メートルほどで推移していたが、17年は半分、18年は6分の1以下に縮小。同法人は詳しい原因は不明としながらも、「温暖化によって洞窟内の気温が変化している可能性がある」と指摘している。

 県教委学術文化財課によると、富士風穴は青木ケ原樹海にある溶岩洞窟の一つで、1929年に国の天然記念物に指定された。富士山周辺にある洞窟の中で最も気温が低く、洞窟内の気温は0度以下で、年間を通して氷を見ることができるという。

 氷筍の観察をしているNPO法人富士山自然保護センターによると、地表に降った雨水が洞窟内に染み出し、天井から滴が落下。凍った滴が積み重なってできる。洞窟内と外では気温の変化にタイムラグがあるとされ、例年、気温が氷点下になる1〜3月に「成長」し、気温が上がる9〜11月に解けて縮小するという。

 同法人は、氷筍などが人為的に折られたり、削られたりする被害が起きたことを受け、2011年から富士風穴で定期的に観察。気温の記録機器を洞窟内外の4カ所に設置し、氷が減って洞窟に入りやすい11月にデータを回収するとともに撮影してきた。

 氷筍ができる場所は限られていて、風穴の最深部では観察を始めた11年から16年まで、1メートル程度の氷筍が確認されていた。だが、17年は最も大きいもので50センチ、18年は15センチだった。中央広場と呼ばれる洞窟の中間地点でも例年の半分以下に当たる20〜10センチの大きさだったという。同様の傾向は富士河口湖町にある別の洞窟でも見られる。

 同法人自然共生研究室の渡辺通人室長によると、富士風穴内最深部の気温を調べたところ、記録を取り始めた11年よりも、昨年は年平均で約0.2度高かった。冬場に冷え込まないと、大きくならない傾向があるといい、渡辺室長は「洞窟内で気温の変化が起き、解ける期間が延びたり、十分に冷え込んだりしていない可能性がある」と推測する。

 一方、洞窟内では気温の記録機器を取り外されたり、移動されたりする被害が続いている。昨年も機器の一つがなくなっていたといい、渡辺室長は「定点観測に支障が出ているので絶対にやめてほしい」と話す。

 雨水によって氷筍ができることは分かっているが、地表に降った雨水がどのぐらいかけて洞窟内に染み出すかなど、発生の具体的なメカニズムは判明していない。渡辺室長は「氷筍も含めて天然記念物としての価値がある。手法を精査しながら調査を続けたい」と話している。

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