ブラックバス削減に転換
西湖漁協が方針
クニマス保護へ漁業権返上

更新日:2018年09月09日(日)

 富士河口湖町の西湖漁協(三浦久組合長)が、肉食性の外来魚オオクチバス(ブラックバス)の漁業権を返上する方針を固めた。絶滅したとされながら再発見されたクニマスを保護するのが目的。返上後は産卵床の設置などオオクチバス増殖への取り組みを中止し、削減する方向に転換する。県内にはオオクチバスの漁業権を持つ漁協が三つあるが、返上すれば西湖漁協が初めて。2023年に控える免許更新の際に漁業権魚種から外す。

 県によると、西湖でオオクチバスの繁殖が始まったのは1970年代。バス釣り愛好家による密放流がきっかけとされる。バス釣りブームを背景に、西湖漁協は94年、オオクチバスの漁業権を取得。ピーク時の90年代にはバス目当ての釣り客を中心に年間約6万人が西湖を訪れ、遊漁料は大きな収入源となった。

 一方で、在来種を捕食することによる生態系への影響が指摘され、国は2002年、オオクチバスを含む外来魚の漁業権の新規取得を凍結。05年には外来生物の輸入、飼育などを禁じる外来種被害防止法が施行された。漁業権を持つ西湖などは「例外」とされたが、外来魚に対する規制は強化されてきた。

 こうした中、西湖では10年12月、秋田・田沢湖で絶滅したとされていたクニマスを発見。西湖漁協は産卵する可能性が高いとされている湖北岸に禁漁区域を設定したほか、湖底の清掃活動など保全活動に取り組んできた。

 13年の前回の免許更新時には、ヒメマスなどの食害が深刻化しているとして、ヤマメの漁業権を返上。捕食による被害が懸念されていたオオクチバスについても、今年2月に開いた総会で漁業権の返上を諮ったところ、9割近くが賛意を示したという。

 23年の免許更新時にはオオクチバスを漁業権魚種から外す方針。漁業権を取得すると、漁場の管理団体と位置付けられ、遊漁料を徴収できる一方、稚魚や成魚の放流、産卵床の設置など増殖への取り組みも義務付けられる。西湖漁協は返上後は増殖行為を中止し、将来的にはオオクチバスを駆除することも検討する。

 三浦組合長は「クニマスとオオクチバスは生息する水深が異なるが、ヒメマスに交ざって食べられている可能性もある。地元の漁協として、クニマスを守っていく姿勢を示したい」と話している。

オオクチバス ブルーギルやコクチバスと同じサンフィッシュ科の魚で北米原産。繁殖力が非常に高く、魚や水辺の昆虫を食べることから在来生態系への影響が指摘されている。ルアー釣りの対象として人気があり、山梨県内では河口湖、山中湖、西湖で漁業権魚種に指定されている。

クニマス サケ科サケ属の魚で、秋田県の田沢湖固有種。かつては高級魚として出産祝いや病気見舞いの贈答品になった。米の増産に伴う農業用水の確保や電力不足解消のため、1940年に玉川の水が田沢湖に導入されて水質が急激に酸性化。生息環境が悪化したことで絶滅したとされていたが、30年代にクニマスが放流されていた西湖で2010年、約70年ぶりに生息が確認された。 

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