御中道

御中道
 御中道は、富士山中腹の5−6合目付近(標高2100−2800メートル)を等高線に沿って鉢巻き状に一周する道。全長約25キロ。森林限界付近を通るこの道には、大沢崩れ、吉田大沢をはじめ、八百八沢といわれる多数の沢が走る。いにしえより「富士山に3度以上登頂した者だけが歩くことを許される道」として讃えられていた信仰の道で、所々に当時をしのばせる建物や石碑などが残る。

 御中道巡りの始まりははっきりしないが、「富士吉田市史」によると、1680(延宝8)年に「中道大願成就」によって作られた御身抜(富士講独特の文字と書式で書かれた曼陀羅軸)が残されていることから、この時期には既に始まっていたことが分かる。

 トレッキングコースとして人気がある現在の御中道は、富士山有料道路(富士スバルライン)5合目−旧大沢休泊所(通称・お助け小屋)までの区間・往復約8キロを主に指す。大沢を渡る場所として「一の越(こし)」が江戸時代、標高2800メートル付近に存在していたが、崩落の拡大で明治初期に「二の越」、昭和初期に「三の越」と変遷。1977(昭和52)年に起きた滑落事故により大沢渡りは禁止され、また静岡県側の一部の道が不明瞭なため、一周することはできない。

 なお2016年6月、御中道の一部が雪解け水の浸食で深くえぐられ、寸断されていることが判明。土壌が浸食されたのは山梨県側で、御中道の御庭から大沢崩れの間にある「滑沢」と「仏石流し」の2カ所。周辺は迂回路がなく、復旧のめどは立っていない。5合目から御庭や奥庭までの散策コースに被害はない。

 御中道の植生は、富士山有料道路の御庭駐車場から御中道へ向かう途中に、大沢崩れ砂防工事用のヘリポートがあるが、その周辺は強い偏西風によって枝が東方にのみ伸びるカラマツが生い茂る。さらに御中道に入り細長い道を進むとシラビソやコメツガなどに覆われた深い森林の中へ入っていく。カラマツやダケカンバなど陽樹も混在している。

 滑沢や仙石沢では森林が途切れ、山頂を望むと懸命にはい上がっていく植物群を見ることができる。沢では表面の砂礫の流下が激しいため高木は育たないが、オンタデやメイゲツソウなどの草本植物が群落を形成している。

 大沢に近づくと周辺はカラマツの林へと変わっていく。陽樹であるカラマツの林は、木々の生え方がまばらで木漏れ日も多く、下草の生育には良い環境。ヒメシャジン、クルマユリ、ダイモンジソウなど多数の草花が生育する。春から秋にかけては花も咲かせる。
富士山NET−御中道
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