富士五湖の魚

富士五湖の魚
 山梨県水産技術センターによる富士五湖の放流の振り出しをみると、山中湖への放流は利根川産のコイが最も古く1800年代。1919年に霞ケ浦産のワカサギ、27年桑名(三重)産、28年瀬田(滋賀)産のシジミが記録されている。河口湖は15年の甲府からのコイに始まり、16年相模川産のアユ、17年霞ヶ浦産のワカサギ、20、30年代にヒメマス、ニジマス、カワマスの放流が続いた。西湖は1700年代末期に諏訪湖からコイ、ナマズ、1916年にはヒメマス、アユが移入された。精進湖、本栖湖は17年に十和田湖(青森)産のヒメマスをそろって放流した。 

 漁業をみると、山中湖はワカサギやフナ釣り、近年はルアー客によるオオクチバス(ブラックバス)釣りが盛ん。河口湖はニジマスや五湖の中で最も早く89年に釣りを認めたオオクチバスのルアー釣り(山中湖、西湖は94年)が主体。最近では、かつて国内有数の産地として知られたワカサギ釣りの復興に向けて、さまざまな取り組みを進めている。西湖の主要魚種はヒメマス、精進湖はフナ、本栖湖はヒメマス、オイカワで釣り客需要のすみ分けを図っている。

 5湖の主な魚をみると、ワカサギは色が銀白色で体長15センチ。毎年卵移入されるが、稚魚も含めてオオクチバス、ブルーギルのえさになっていると推測される。ヒメマスは頭、背が青緑色で背、尾びれに黒い小さな斑点がある。本栖湖、西湖に毎年放流される。両湖はヒメマス釣りが例年春と秋の2回解禁となる。オオクチバスは体長50センチ。名前の通り口が大きく下あごが突き出す。北米産で日本には1925年、芦ノ湖に移入された。魚食性が強いので持ち出し禁止となっていたが、ゲームフィッシングの流行によってゲリラ放流され、たちまち生息場所が広がった。

 ところで2010年12月、国内唯一の生息地(秋田・田沢湖)で70年前に絶滅したとされ、環境省のレッドリストでも「絶滅」種に指定されている日本固有の淡水魚「クニマス」の生息が西湖で確認されことが、京都大の中坊徹次教授らの調査で分かった。西湖では以前から、体が黒みかかったヒメマスに似た魚の存在は有名で、長く「クロマス」と呼ばれてきた。かつて田沢湖で絶滅する前に、西湖や本栖湖、滋賀県の養鱒(ようそん)場にクニマスの受精卵を送った記録があるという。

山梨日日新聞社 YBS山梨放送
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