富士山のチョウ

富士山のチョウ
 富士山は山麓から中腹部にかけてチョウの宝庫である。特に絶滅危惧種に指定されているヒメシジミなど生息している貴重な場所だ。

 県環境科学研究所によると、標高3000メートルを超える日本一高い富士山だが、そこを代表するチョウ類は意外にも温帯草原性のもの。南アルプスや八ケ岳に見られる高山性や亜高山性の種ではない。これは富士山が氷河期以後にできた新しい火山であることに関係しているといわれている。

 山梨県全体で確認されているチョウは2006年現在148種。うち80.4%の119種が富士山に生息している。なかでも「ヒメシロチョウ」「ヒメシジミ」「ヒョウモンチョウ」など16種が富士山を代表するチョウといわれ、その多くが、環境省指定の絶滅危惧(レッドリスト)種に認定されている。

 東南アジアなど亜熱帯に生息している「ナガサキアゲハ」が2001年に富士山ろくで確認されたほか、山梨にいるはずのなかった南方系の「ツマグロヒョウモン」「クロコノマチョウ」も見られるようになった。平均気温などとの相関関係を分析、生息区域の北上は地球温暖化が要因と分かった。

 最も特徴的なのは、レッドリストに載るチョウの宝庫となっている北富士演習場(梨ケ原)。年1回の火入れ(野焼き)などにより草原が保たれていることによるところが大きい。自然との共生には人の手による整備が必要不可欠で、身近な自然を見詰めることが大切。

 【写真】2011年に富士山周辺で多く見られたキベリタテハ

山梨日日新聞社 YBS山梨放送
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