富士山における「外来植物」の調査(1)

富士山における「外来植物」の調査(1)
 2012年夏に行われた、山梨県環境科学研究所の中野隆志主幹研究員と茨城大教授、同大学生の3人による調査によると、富士山5合目周辺や富士山有料道路(富士スバルライン)沿いで、元々生育していなかったヨモギやバッコヤナギなど、少なくとも56種類の「外来植物」が自生しているのが見つかった。多いものは調査地点の約9割で確認された。1964年4月の富士スバルライン開通後、観光客増加に伴い、衣服や車に付着して種子を運び込まれた植物の種類や範囲が拡大しているとみられる。このまま放置されれば5合目周辺の植生が変わる恐れがあるだけに、中野さんは「富士山の景観を守るためにも早めの対策が必要」と指摘している。

 調査は、富士スバルライン開通以前の植生データがないため、富士スバルライン沿いの植生と、道路脇から離れた同じ標高の地点の植生を比較した。

 (1)奥庭駐車場−5合目ロータリーの富士スバルラインの両側(2)同ロータリー−お中道1キロ(3)同ロータリー−6合目に向かう登山道1キロ−の3区間をそれぞれ25メートルずつに分割し、計224区で外来植物の有無を調べた。

 中野さんによると、最も多く自生していたのはヨモギで200カ所以上で確認。調査地点で少なくとも56種類の外来植物を確認したという。

 現状では在来植物を脅かすほどではないが、ヨモギなどは元の植生の中に入り込んで繁殖していて、今後さらに増える可能性が高く、このまま外来植物が増殖すると、オンタデやミヤマオトコヨモギ、シラビソ、カラマツなどの今の植生が変わってしまう恐れもあるという。

 調査地域には国立公園の特別保護地区が含まれるため、自生する植物を採取、駆除するには環境省などの許可が必要。また、富士山は比較的新しい火山で植生が未発達の状態といい、中野さんは「繁殖力が強く、富士山の低温で乾燥した環境に適する外来植物が入ってきた場合、爆発的に増える恐れもある。世界文化遺産に登録されれば観光客が増え、種が持ち込まれる可能性が高まる。富士山の姿を後世に残すため、外来植物の駆除やモニタリングが求められる」と訴える。

 また、東京農工大准教授で植生管理学が専門の星野義延さんは「外来種の中には、自然に淘汰されるものもあるが、近縁種がいて交雑の恐れがある場合など、在来種や生態系への影響が大きいものから優先順位を付けて、早めに駆除することが必要」と話している。

山梨日日新聞社 YBS山梨放送
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