夏に降る雪

夏に降る雪

 富士山では夏に雪が降ることがある。記録に残る最も早く降った初雪は7月8日。1933(昭和8)年のことだ。山開きから1週間後に、もう初雪となったわけだから、さすが日本一高い富士山。もちろん日本で一番早い初雪の記録だ。平均日でいうと9月10日になる。

 初雪があれば一方で、終雪という記録もある。これは、その冬の最後に降った雪のことで、富士山の終雪平均日は7月5日になっている。

 「おや?」と思った人がいると思う。終雪の平均日が7月5日とすれば、当然、7月8日以降に終雪が記録されている年もある。初雪の最も早い記録として7月8日があるように、ある年の終雪日が、別な年の初雪日より遅いケースが出てくる。となると、夏の富士山に降った雪は、過ぎ去った冬の名残雪か、それとも来る冬の先駆けなのか迷ってしまう。

 平地では、例えば北海道の稚内でも夏は雪が降らない。初雪と終雪の区別は簡単だ。1年を通して雪が降る富士山ならではの悩みとなる。そこで統計上は「その年の最高気温を観測した日を境に、その直前が終雪、直後が初雪」と決めている。つまり、終雪か初雪かは、富士山の夏が終わり、最高気温となった日が確定しないと決まらないわけだ。

 ところで、年間を通した富士山頂の月別平均降雪日数を見ると、最も少ない8月で0.2日。最も多いのは3月で17.1日、続いて4月の14.6日となっている。富士山は真冬ではなく春の3、4月に雪の最多シーズンを迎える。雪の深さ(積雪)も12−2月が148センチなのに対して、3−5月は207センチと、春に雪が最も深くなる。富士山は太平洋側に位置するため、真冬のシベリア高気圧による雪よりも、春先の南岸低気圧による雪が多いわけだ。

 山頂での初雪とは別に、ふもとから初めて山頂付近の雪を観測した日を初冠雪日と呼ぶ。河口湖測候所での平均日は9月27日、甲府地方気象台は10月1日。初雪から2、3週間遅れの観測となる。河口湖測候所は2003年9月で有人観測が終了し、初冠雪の観測も幕を閉じた。

山梨日日新聞社 YBS山梨放送
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