風の強さも日本一

風の強さも日本一

 富士山の気象で最も特徴的なのが風の強さだ。全国の気象台・測候所の平年値の一覧を紹介している日本気候表(気象庁刊)にある富士山の風のデータをみると、最大風速(平均風速=観測前10分間の平均=の中で最大)が、台風並みの20メートル以上になる日が年間で121.0日あり、30メートルを超す日も11.4日ある。

 つまり、3日に1日は台風並みの風が吹いているわけだ。10メートル以上の日も年間313.4日あるから、山頂に立った時に風が弱かったら、それだけでも非常に幸運といえる。

 平均風速の月別変化をみると、8月が最も弱く7.3メートル、続いて7月の8.5メートル。強いのは1月の15.4メートルで続いて2月の14.9メートル。8月の冨士登山が、その幸運にめぐり合う確率が最も高いわけだ。

 年間の平均風速は11.4メートル。風の強さで有名な室戸岬が7.7メートル、極寒の地にある南極の昭和基地でも年平均風速は6.5メートルだから、富士山の風の強さはきわ立っている。

 記録に残る最も強い最大風速は、1942年4月5日に低気圧が原因で吹いた西南西の風72.5メートル。最大瞬間風速(瞬間風速の中で最大)では、1966年9月25日午前1時27分に南南西の風91.0メートルというとてつもない風が吹いている。いずれも日本一の記録だ。

 91.0メートルは台風26号によるもので、くしくも富士山の気象レーダーが始動した年だった。100メートルの風にも耐えられるように設計されたレーダードームは、パネルが1枚脱落したものの見事にその実力を証明した。しかし、当時の測候所職員は記録に「建物全体がまるで滝つぼを転がっているような、とどろきとうなり」と風のものすごさを語っている。職員5人は建物のとびらを必死で押し返すなど生きた心地はしなかったようだ。

 富士山は周りに障害物が何もない。3776メートルの山頂は上空の風をまともに受ける。風については、山頂は南極の昭和基地をも上回るきびしい場所なのだ。

山梨日日新聞社 YBS山梨放送
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