富士山と遭難

富士山と遭難
 夏の登山シーズン中、富士山では山梨県側だけでも毎年10−20件の遭難が発生している。多いのは転倒や高山病、落雷、落石など。

 夜間か午後に登り、仮眠して山頂に立ち、昼に下山がパターンのため、疲労が激しくなるのが背景にある。空気も平地よりずっと薄い。このため下山道で転んだり、小さな石に乗っかって転んだりする例が多い。

 3000メートルを超えると空気は極端に薄くなり、頭痛や吐き気、だるさを感じたら高山病の症状。歩くのはつらくなるし、意識も正常でなくなる。山小屋で簡易酸素ボンベを買って吸うか、速やかに下って標高を下げること。上部の人の不注意で落とした石が当たってけがをすることもある。

 雷はゴロゴロいいだしたら山小屋に避難するのが一番だ。

 落石では1980年8月14日、吉田大沢上部の久須志岳の一部が崩落、雪崩のようになった大小の岩が6合目付近まで落ちてきた。このため登山中の12人が死亡し、31人が重軽傷を負った。

 冬はアイスバーンと突風による滑落や疲労凍死が多い。氷点下20−30度の低温は雪を硬く凍らせる。突風は人を軽く吹き飛ばす。雪崩による大量遭難が何度もあった。

 老若男女だれでもが登れる山というイメージがあるが、恐い山であることも確か。夏のシーズンにも毎年、数人が死亡している。近代登山が始まって以来、山梨、静岡全体の遭難死者数は、1000人に近いものと思われる。この数は魔の山といわれる谷川岳、北アルプスの穂高岳、剣岳に匹敵する。

山梨日日新聞社 YBS山梨放送
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