世界遺産「富士山」へ プロジェクト始動
遺産委 富士山に高い評価
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「感性の源泉」「西洋美術に影響」
 富士山の世界文化遺産登録を決めた国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会の決議文では、「西洋の芸術の発展に顕著な影響を与えた」と富士山の高い文化的価値を評価した。一方で、増え続ける登山者への対策や景観を維持する方策など、「世界の宝」を後世に守り伝えていくため、“注文”も付けた。

 決議文では、富士山が古代から今日まで山岳信仰の対象になってきたことについて、「富士山の完全な形姿に対する尊敬を基軸とする生きた文化的伝統のたぐいまれなる証拠である」と評価した。

 また、詩や散文など芸術作品にとって、富士山が創造的感性の源泉であり続けた、と指摘。中でも、葛飾北斎や歌川広重が描いた浮世絵を通して、西洋の芸術に大きな影響を与えたとし、「富士山の荘厳な形姿を世界中に知らしめた」と指摘した。

 一方で、文化的な景観を維持するためのシステムをつくるよう日本に勧告。アクセスの利便性と神聖さの維持という相反する要求に関し、全体構想(ビジョン)を定めるよう求めたほか、登山道の受け入れ能力を研究し、その成果に基づく来訪者戦略を定めることも要請。登山道や山小屋、トラクター道のための総合的な保全手法や、景観の神聖さや美しさを維持するための方策を強化することも求めた。

 その上で、2016年2月1日までに、保全状況報告書を提出するよう要請。報告書には、来訪者戦略や登山道の保全手法、管理計画の全体的な改定の進捗(しんちょく)状況を含めること、としている。 〈中山純〉

地元市町村長の談話
富士山を守っていきたい 堀内茂富士吉田市長
 審議の結果を待つのはとても長く感じた。登録は間違いないと思いながらも不安はあったので、正式に決まったという一報が入ったときにはうれしさでいっぱいだった。これからは環境保全、安心安全などを前面に打ち出し、世界遺産の富士山を守っていきたい。

住民らの尽力に感謝 渡辺凱保富士河口湖町長
 地元住民や関係者の多大な尽力に対して敬意を表するとともに、心から感謝したい。今後も住民に理解、協力してもらいながら「世界遺産のふるさと富士河口湖」として、住んでよし、訪れてよし、自然に優しく、人に優しいまちづくりを進めていきたい。

これを機に最高の郷土に 高村文教山中湖村長
 長年尽力してきた人びとの思いが通じたたまもの。登録決定となったことは大変喜ばしい。これを機に最高の郷土にしたい。常に誇りと感謝を忘れず、富士山および、富士山に一番近い湖、山中湖によく似合う麗しい村を築いていきたい。

忍野八海の歴史、文化伝える 天野康則忍野村長
 このたびの吉報に触れ、大変うれしく、また安堵した。20年余りにわたった世界遺産登録への挑戦が、ここに決定に至ったことには万感の思いがある。忍野八海の歴史、文化を末永く後世に伝えることは、私たちに課せられた大きな責務だと考えている。

来訪者に喜んでもらえるように 小林優鳴沢村長
 これまで長年にわたり協力してきた地元住民や国、山梨、静岡両県、並びに関係市町村に感謝している。しかし、来訪者に対する安全対策や環境保全などさまざまな問題も残る。引き続き関係者と協力し、来訪者に喜んでもらえるようにまい進していきたい。

安心安全な環境整える 小林千尋西桂町長
 多くの方々の活動があったからこその登録で、感謝している。今後は全世界から観光客が来ることが予想される。町としても、多くの人たちのため、安心、安全に観光できる環境を整えるとともに、世界遺産にふさわしい自然環境の保全を進めたい。

2013年6月23日付 山梨日日新聞掲載


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